社会人が予備試験に合格することなんて現実的に可能なのだろうか?無謀なんじゃないか?
本来は社会人のような方に向けられた制度の予備試験ですが、実際には最年少合格などのニュースが目に入ってくることが多くなってきました。
社会人の方は、勉強時間を確保することも難しく、難関試験と言われている予備試験に合格できるのか不安になりますよね。
しかし、社会人であっても予備試験に合格するということは現実的に可能です。
なぜなら、実際に毎年決して少ないといえない人数の社会人が合格しているからです。
例えば、令和4年は97人が予備試験に合格しています(法務省発表)。
実は、データ上、社会人受験生は論文式試験の合格率が低く、短答式試験の合格率にほとんど差はないのです。
つまり、論文式試験の対策を万全に行えば、予備試験合格は現実的なものとなります。
この記事では、
などを解説していきます。
社会人受験生の方に目安となるような内容を解説しますので、ぜひ最後まで読んでいって下さい。
1 無謀ではない!社会人でも予備試験に合格することは現実的に可能!
社会人でも予備試験に合格することは可能です。
なぜなら、実際に予備試験に合格している社会人がいるからです。そして、その人数も97人(令和4年予備試験最終合格者)と少なくありません。
合格している社会人も
- 法曹関係の仕事をしていた
- もともと東大卒など極めて優秀だった
などではない人も合格しています。
私の知っている人の中には、高卒で長期間頑張って合格した人もいます。
社会人でも合格するためには、この記事で説明するように
時間を作り出すこと
時間を効率的に使うこと
が大事です。
2 データで見る社会人の予備試験
予備試験受験生のうち社会人のデータを整理してみました。
(参照:法務省)
法務省が公開しているデータのうち、「公務員、教職員、会社員、法律事務所事務職員、塾講師、自営業」と申告した方のデータをまとめています。
このデータを見ると、
- 短答合格者は学生と比べても変わらない(むしろ高い)
- 論文合格者数は、学生に比べて大きく下がる
- 口述式試験の合格者数は、学生と変わらず98、99パーセント程度
ということが分かります。
この事実からすると、
社会人は論文式対策が足りていない
という事実が導き出されます。
【社会人】
令和4年予備試験 | |
受験者数 | 5143人 |
短答合格者数 | 1091人(合格率21%) |
論文合格者数 | 98人(合格率8%。短答合格者数からの合格率。以下同様。) |
最終合格者数 | 97人(合格率99%。論文合格者数からの合格率。以下同様。) |
令和3年予備試験 | |
受験者数 | 4360人 |
短答合格者数 | 994人(合格率23%) |
論文合格者数 | 69人(合格率7%) |
最終合格者数 | 65人(合格率94%) |
令和2年予備試験 | |
受験者数 | 3879人 |
短答合格者数 | 901人(合格率23%) |
論文合格者数 | 68人(合格率8%) |
最終合格者数 | 64人(合格率94%) |
平成31年予備試験 | |
受験者数 | 4240人 |
短答合格者数 | 924人(合格率22%) |
論文合格者数 | 64人(合格率7%) |
最終合格者数 | 62人(合格率97%) |
【学生】
ここでは、「法科大学院生、大学生」と申告している方のデータをまとめています。
令和4年予備試験 | |
受験者数 | 4853人 |
短答合格者数 | 925人(合格率19%) |
論文合格者数 | 326人(合格率35%) |
最終合格者数 | 320人(合格率98%) |
3 社会人が予備試験に合格するためには論文対策が重要!その2つの理由
データからすると社会人受験生は論文式試験の合格率が低いといえます。
そして、論文式試験に合格している人は、ほとんどが最終合格しています。
つまり、社会人受験生が予備試験に合格するためには論文対策が重要となります。
それでは、どうして社会人受験生は論文式試験の合格率が低いのでしょうか。
その理由は2つあると予想されます。
- 短答の対策で時間がいっぱいになっている
- 周りの受験生が少なく、正しい論文対策ができていない
1.短答対策で時間がいっぱいになっている
社会人受験生はやはり時間が足りません。
短答はある程度暗記で勝負できるので、時間をかければある程度合格することは可能です。
しかし、論文は過去問を解くなどする必要があり、そこまで時間が足りていないのではないかと予想されます。
2.周りの受験生が少なく、正しい論文対策ができていない
論文対策で正しいといえるものは、過去問を解くことです。
学生の受験生でもできていないことが多いわけですから、周りに受験生が少なく、情報収集が十分に出来ていない社会人受験生の場合には、その割合が多いことが考えられます。
4 社会人が予備試験に合格するために必須の3つのポイント
社会人であっても予備試験に合格することはできますが、学生に比べれば困難であることはデータ上明らかです。
そして、先に説明したところによると、社会人は論文式試験対策が足りていないことが分かります。
その原因としては、暗記だけでは対応できない論文式試験の対応ができていないのでしょう。
そこで、社会人が予備試験に合格するために必須の3つのポイントを解説します。
- 生活を見直して勉強時間を作り出す
- ベストな予備校講座を受講する
- できることとできないことの見極めをつける
1.生活を見直して勉強時間を作り出す
現在、何に時間がかかっていて、何の時間を節約できるのかを見直して勉強時間を作り出しましょう。
時間は有限ですから、今の生活を見直すことから始めるべきだからです。
2.ベストな予備校講座を受講する
最適な予備校講座は、時間を節約することにつながります。
最初からまとまったテキストを使い、受験用に作られた講座は、司法試験・予備試験合格に必要不可欠な知識・能力を得るために最適です。
注意点ですが、みなさんにとってベストな予備校講座でなければ、かえって時間とお金の無駄になりかねません。
今の自分に足りないのは何かということを分析して予備校講義を選びましょう。
時間がないからこそ、合格のために必要な知識を集中的に身につけて、過去問を繰り返すということに集中するべきです。
私は、アガルートの総合講義100で知識を入れて、早稲田経営出版のスタンダード100で過去問演習を繰り返すのがベストだと考えております。
その理由については、以下の各記事で説明しておりますので、そちらもお読み下さい。
3.できることとできないことの見極めをつける
今の自分にとってできることとできないことを早めに見極めることは、社会人の方にとっては重要です。
なぜなら、社会人の方はとにかく時間がないからです。
たとえば、勉強を始めたばかりでは何もできないのは当然です。そこで、できるようになろうと時間をかけても、膨大な量がある勉強はいつまでも終わりません。
まずはできないことを理解して、全体像を掴むことが大切になります。
かえって、勉強が進んできたときには、できることを繰り返ししていても実力はあがりません。
そのときにできていないところを分析し、その点を必要な教材で復習して対策することが大切になります。
5 社会人が予備試験に合格するために必要な勉強時間と年数
予備試験に合格するために必要な勉強時間の目安は2000時間〜といわれています。
しかしながら、社会人はまとまった時間を取ることが難しいため、より多くの時間が必要になると予想されます。
5-1 予備試験に合格するための勉強時間は2000時間〜・1年以上
予備試験に合格するための勉強時間は2000時間〜となります。
これは、勉強を始めてから一年で合格した人がいることや実際に公開されているスケジュールから推計した時間です。
5-2 社会人の場合だともっとかかる場合もあり
社会人の場合、学生と異なり、多くの方にとっては日中のほとんどの時間を仕事に充てることになります。
どうしてもまとまった時間を取ることが難しくなるため、勉強効率が下がってしまい、2000時間で合格することはより難しくなるでしょう。
6 社会人が予備試験に合格できる勉強スケジュール
私が社会人合格者に聞いた勉強スケジュールを公開します。
あくまで一例で、かなり勉強している日のスケジュールのようです。
このようなスケジュールであれば、
- 平日1日 3時間半
- 休日1日 10時間半
- 一週間合計 38時間30分
勉強することができます。
しかし、私も社会人だから分かりますが、かなりきついスケジュールだと思います。無理せず調整するのがいいでしょう。
平日
07:30〜08:15 | 通勤電車で短答の問題や論証集を回す |
08:30〜19:00 | 仕事 |
19:30〜20:15 | 通勤電車で短答の問題や論証集を回す |
20:15〜21:00 | 夕食や入浴を済ませる |
21:00〜23:00 | 論文の勉強を少しする |
23:00〜 | 翌日の準備などをして就寝 |
休日
07:00〜08:30 | 起床〜朝食などを済ませる |
08:30〜11:30 | 論文の勉強(司法試験の過去問を起案など) |
11:30〜14:00 | 昼食、休憩 |
14:00〜19:00 | 論文の勉強(午前中の復習や2問目の起案をする) |
19:00〜20:30 | 夕食、入浴など |
20:30〜23:00 | 論文の勉強 |
23:00〜 | 翌日の準備などして就寝 |
7 まとめ(社会人のあなたにも合格して欲しい)
修習時代で何人もの社会人受験生の方と話していて思うのは、社会人受験生の方は、司法試験合格に対する熱量が大きいと思います。
私は、そのような方にこそぜひ予備試験、そして司法試験に合格して欲しいと思っています。
このブログも社会人受験生の方に有用な情報提供をしていきたいと強く思います。
最後に今回の記事についてまとめます。
当ブログは、社会人受験生の方を応援しています!
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