予備試験の論文対策用の過去問題集のおすすめは結局なんなの?
あらゆるニーズを捉えた完璧な予備試験対策用の論文過去問題集というのは正直言ってありません。
受験生ごとの勉強スタイルや状況に合わせて自分に合った過去問集を選ぶしかないのです。
選ぶポイントとしては
の3つが挙げられます。
そこで、この記事では、この3つの観点から予備試験の論文式試験対策におすすめの過去問集を3つ紹介します。
辰巳法律研究所 Newえんしゅう本
早稲田経営出版 司法試験予備試験対策論文合格答案集 スタンダード100
アガルート 重要問題習得講座
1 おすすめ予備試験の論文過去問集3選
辰巳法律研究所 Newえんしゅう本
辰巳法律研究所から出版されている旧司法試験時代から定番の論文対策用問題集です。
私も勉強を始めて最初に買ったのは、Newになる前のえんしゅう本でした。
以前のえんしゅう本はほとんどがオリジナルの短文問題でした。Newえんしゅう本になってから旧司法試験を多く含んだ論文過去問題集になっています。
そのため、過去問集として使用することもできるようになりました。
早稲田経営出版 司法試験予備試験対策論文合格答案集スタンダード100
スタンダード100は、問題、簡単な解説、簡単な考え方、参考答案から構成されています。出題趣旨が公表されている年の問題には出題趣旨も載っています。
問題はメイン論点をベースにして体系別に並んでいます。
新司法試験・旧司法試験・予備試験の過去問と多少のオリジナル問題から構成されています。
オリジナル問題はほぼなく、過去問がメインになります。
簡単な解説や簡単な考え方は、他の過去問集と比べると分量が少なくあまり参考にはなりません。ただし、参考答案がどのような考え方のもと作られているのかを知ることができます。
参考答案は、旧司法試験や予備試験の問題は4ページに収まるような分量で作られています。
予備校の作った参考答案にありがちな論証パターン貼り付けの答案ではありません。そのため、「この問題ではこのくらいの論証で足りるのか」という使い方も可能です。
また、採点者の立場で参考答案を検討することで、こんな論証だとダメだからこうしようという批判的な検討ができるようになります。私は、これにより思考力を鍛えていました。
全体の参考答案の質でいうと、今回紹介した3つの中では一番低いと言わざるを得ません。
あくまで批判的に参考答案を使うようにしましょう。
アガルート 重要問題習得講座
アガルート公式サイト より引用
重要問題習得講座は、問題、答案構成、参考答案、解説から構成されています。
問題はおおよそ体系別に並んでいます。
問題は、オリジナル問題、法科大学院の入試問題、司法試験の過去問から構成されています。
オリジナル問題と法科大学院の入試問題の割合が高く、司法試験の過去問の割合は低めです。
科目により割合は異なりますが、オリジナル問題の割合はおよそ50%を超えてきます。
しかしながらオリジナル問題は論点を意識して作られており、論点の勉強をするには最適です。
論点マップもついているため、Newえんしゅう本やスタンダード100のように解きたい論点を探すことも可能です。
解説はありますが、答案をまとめたものに近く、あまり分かりやすいとは言いづらいです。
参考答案はおおむね4ページで作られています。
参考答案の質は高い方ですが、アガルートの論証集にあるような癖があります。アガルートで勉強している人には気にならないかもしれません。
動画の解説は一問当たり10〜15分です。
浅く広くの解決というよりは、ポイントを絞った深い解説になります。
重要問題習得講座のコンセプトには合っていると思いますが、全体の解説を求めているとちょっと違うかもしれません。
サンプル講義やサンプルテキストもありますので受講前に一度見てみることをおすすめします。
2 おすすめ予備試験向け論文過去問集のメリット・デメリット
メリット
Newえんしゅう本
スタンダード100
重要問題習得講座
デメリット
Newえんしゅう本
スタンダード100
重要問題習得講座
3 こんな人におすすめ!
Newえんしゅう本
まだ勉強を始めたばかりで、どんな風に論文の勉強を進めたらいいか分からない人におすすめです。
問題が厳選されていることでクオリティーも比較的高くなっています。そして、一周する時間も短くなるので、何周も回すことで科目全体の理解を深めやすくなっています。
スタンダード100
少し勉強が進んで、本格的に過去問演習をしたい人におすすめです。
網羅性が高いことでとにかく多くの過去問を解けるので、さまざまな角度からその科目の理解を深めることができます。
重要問題習得講座
自分一人で過去問集に向き合うのは不安があり、講師の話を聞きながら論文対策を進めたい方におすすめです。
アガルートの総合講義のテキストを持っている方は親和性が高いので、総合講義も受けてみたいという方にもおすすめできます。
私としては予備校の論文演習(重要問題習得講座含む)やNewえんしゅう本で論文対策の基礎を固めた後に、スタンダード100でガンガン過去問を解くのが一番だと思います。
予備試験の論文対策には、問題の分量が近い旧司法試験の過去問を繰り返し繰り返し解くことが一番効果的なので、網羅性のあるスタンダード100に到達するのは当然の結論だからです。
4 商品に関するよくある質問
Q.全科目同じ過去問集でいいの?
憲法と行政法については、この記事で紹介した過去問集がおすすめとはいえません。
憲法は平成14年以前の司法試験の過去問の特徴が予備試験と違いすぎるためです。
行政法はそもそも旧司法試験の過去問の積み重ねがないためです。
憲法は
と、司法試験の過去問、予備試験の過去問をベースにするのがいいと思います。
行政法は、
をベースに論文の考え方を身につけつつ、司法試験の過去問、予備試験の過去問を解くようにするのがいいと思います。
Q.新司法試験の過去問は解いた方がいい?
解かなくても何も問題ありません。
理由は2つあります。
①問題文が長く解くのに時間がかかる
②旧司法試験の問題だけでも網羅性がある
①問題文が長く解くのに時間がかかる
新司法試験の問題はとても長く、問題文を読んで構成を考えるだけでも旧司法試験や予備試験の過去問の2倍以上がかかります。
時間が2倍かかるからといって、論点が2倍以上あるとは限りません。
時間効率が悪くなってしまうので、解く必要がありません。
②旧司法試験の問題だけでも網羅性がある
旧司法試験の問題だけでも新司法試験で出題されている分野をほぼ網羅しています。
そのため、あえて新司法試験を解く理由がありません。
Q.オリジナル問題を解く必要はある?
オリジナル問題を解く必要はありません。
やはりオリジナル問題の質は、司法試験・予備試験の過去問の質には及びません。
論点を網羅するといっても、過去問で出ていない論点の重要性は下がりますので、あえてオリジナル問題に手を出して対策する必要はないでしょう。
Q.予備試験の過去問はいつ解いたらいいの?
予備試験の過去問をとっておく必要はありません。
しかし、実際の予備試験の過去問は、司法試験の過去問に比べて少ないので、せっかくであれば時間を測って解いてみるということをしてみてもいいと思います。
5 全体のまとめ
予備試験の論文過去問題集にはいろいろありますが、今回の記事で紹介した3つが特にオススメです。
3つともオススメではあるのですが、いろいろな過去問題集を切り替えるのもよくありません。
本屋で実物を見たり、サンプル講義を試してみたりして、納得のいく1冊を選んでガンガン過去問を解いていきましょう。
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